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日本消費者連盟関西グループ発行「草の根だより」2024年12月号掲載記事 高レベル文献調査報告書にダメだし意見を！北海道寿都町と神恵内村で2020年11月から行われていた、高レベル放射性廃棄物処分場の立地選定の第1段階である文献調査の報告書が11月22日に公表されました。 寿都町では町全域と海岸線から15 km程度以内の大陸棚の範囲の沿岸海底下が、神恵内村では積丹岳から15 km以内の範囲を除いた範囲が、概要調査地区の候補とされています。 神恵内村では、積丹岳が問題になることは調査開始前から明らかであり、結果的に陸域は南の泊村に接するごく一部だけ。北部の沿岸海底下が仮に可能だとしても、不適の場所に地上施設を作らないと高レベル廃棄物を地下に降ろすことはできません。 NUMOの山口彰理事長から直接報告書を受け取った鈴木北海道知事は「道内に処分場を受け入れる意思がないという考えに立ち制定された条例の趣旨も踏まえ、現時点では反対の意見を述べる考えに変わりはない」と伝えています。国やNUMOは、こんなことをやってて本当に処分場ができると思っているのでしょうか。 わたしは、かねがね原発再稼働のためにやってるふりをする必要があるだけと主張しています。当初2年間とされていた文献調査が4年かかったのも、この2町村が知事の反対で前に進まなくなるまでに、第3の手を挙げさせる必要があったからだと思っています。 最新知見を反映していない報告書積丹岳のように第四紀火山（260万年前以降に活動した火山）の周囲は不適になります。300人を超す地質学者らの「世界最大級の変動帯の日本に、地層処分の適地はない」という声明の呼びかけ人である北海道教育大学名誉教授の岡村聡さんは、高木基金から調査費を得て、熊追山と寿都町の磯谷溶岩の年代測定を行い、2024年10月16日の火山学会で調査結果を公表しています。熊追山が第四紀火山なら神恵内村の陸域はすべて不適になるはずでしたが、文献で第四紀火山とされていた熊追山は第四紀よりも古いことが分かりました。 磯谷溶岩は270万年±60万年という結果で、誤差を考慮すると第四紀火山であることが分かりました。岡村さんは現地踏査をして、磯谷溶岩分布域の最高地点近くでマグマの破片が落下したことを示す溶岩片なども確認しており、火山の中心も特定しています。この地点から半径15kmを除外すると寿都町は西端などのごく一部を除いてほぼ全域が不適になります。 この調査結果は、北海道新聞で大きく報じられましたし、11月15日に寿都町が主催したシンポジウムでも岡村さんが詳しく説明したためNUMOも熟知しています。文献調査報告書案を審議した経済産業省地層処分技術作業部会委員で日本火山学会副会長の下司信夫・九州大教授も「報告書の審議終了前の段階で知見が得られていれば、磯谷溶岩は除外対象になったはず。（除外の）線を引くべきだ」と新聞にコメントしています。 しかし、NUMOは、まだ論文になっていないから、概要調査に進めば確認するという立場なのです。 世界の基準と比較して日本の基準は11月15日のシンポジウムで岡村さんは、長年このテーマにこだわってきた私も知らなかった問題提起を行いました。地層処分で先行する北欧の地質環境基準は、 ①天然バリアとしての岩盤は、廃棄物処分場の深さにおいて十分な広がりを持つ規模であること ②岩盤は、安定な地質環境で存在し、規模の大きな断層から十分な距離が保たれていること ③地震活動や地殻変動は、相対的に乏しいこと ④廃棄物を覆う岩盤上の地下水は、酸化状態が低いこと だとし、北欧もドイツや中国でも長さ100m以上のいかなる断層も避けることになっていると紹介しました。 このような安定した大陸での基準に比較して、日本の基準は活断層と10㎞以上の断層を避けるであり、変動帯にあるから厳しくないといけないのに逆に大甘だというのです。このことはもっとみんなで共有する必要があると思います。 ぜひ けしからんという意見を出そう!NUMOは2月19日まで報告書を縦覧に供するとともに、寿都町で1回、神恵内村で4回の説明会を既に開催した他、北海道全域14か所で高レベル処分法に基づく説明会を進めています。12月14日に札幌で開催された説明会をオンライン視聴しましたが、紙に書いた質問しか受け付けないで会場からの発言を許さず、一方的に説明が続けられるむごい運営でした。北海道知事は、「高レベルの問題は北海道だけの問題ではないので、全国で説明会を行え」と要求していて、大阪でも北海度内と同じように説明会が行われるのかと思っていました。ところが大阪では、12月19日に従来から行われている対話型説明会が開催されることになり、他でも名古屋、東京、広島で行われます。知事の要求は無視できず、お茶を濁したというところでしょうか。 文献調査報告書に対しては、3月5日（水）まで法に基づいて意見書を出すことができます。磯谷溶岩周囲15㎞を除外しろなどの意見をぜひ出してください。NUMOのWEBページから電子上で手軽に出すこともできます。 |