原発は不正な金品なしに動かない！ 3部作
ノーニュークスアジアフォーラムジャパン通信2019年12月号掲載記事 関西電力の役員等20名が、福井県高浜町の元助役森山栄治氏らから７年間で約3億2千万円の金品を受領していたことが明らかになった。今回の問題は、原発が不正な金による工作なしに動かないことを示す典型例である。問題の発端は2018年１月に、森山氏が顧問を務める吉田開発に金沢国税局が税務調査を始めたところに遡る。金品を渡した記録が記載された森山氏の手帳が押収されたことから慌てた関電は調査委員会を立ち上げるが、そのこと自体や調査結果を取締役会に報告することもなく、隠ぺいしている。1億円以上を受け取っていた者でも軽い処分で済まし、その後昇格までさせている。 このような状況に関電内部関係者と思われる「関電良くし隊」が岩根社長に闇の世界と手を切れと迫る文書を2019年の3月から数通出し、岩根が動かなかったことから、コピーがマスコミ等に配られて明るみに出ることになった。 この告発文書は、内部事情に詳しく、後に明らかになった事実と照らしても信頼しうるもので「国税局と地検特捜とを巻き込み、隠ぺい工作がなされたのは明確な事実」とある。9月26日に共同通信が報じるまで明らかになることはなかった。 ではなぜ隠ぺい工作が行われたのか。考えられるのは冒頭に述べたように闇の金で動く原発の構図が明らかになることが不都合であること、そしてもう一つは闇の金を受け取っていたのが関電幹部だけでなく政治家なども含まれていたからであろう。 内部告発文書には「私共が最も看過できないのは、原発の建設、運転、定期点検、再稼働工事の過程で、工事費等を水増し発注し、お金を地元有力者、及び国会議員、県会議員、市長、町長等へ還流させるとともに、原子力事業本部幹部職員が現金（億単位）を受け取っていた」とある。ところが、今明らかになっているのは地元有力者と関電幹部職員だけである。 国会議員では、森山関連企業から稲田朋美や元経産相世耕に献金が流れていたことが報じられたが、パーティ券など政治資金収支報告書に記載された表の金であり。森山氏が残していたメモには政治家への裏金も書いてあったのでは？ そこで、官邸の指示を受けて検察は動かないことにしてしまったのではないか？ ここが解明すべきポイントである。 他にも3億2千万円は金沢国税局が調査し、関電が社内委員会で認めた7年間分であり、内部告発文書が40年間とする不正な金品の総額はいくらか？ 不正な金の出どころは、工事費への上乗せだけか？ 手抜き工事により浮かした金があれば、原発の安全性に直結する。 森山氏への工事情報の提供や入札によらない特命発注が繰り返されていたことが明らかになっているが、不正な金品の見返りはどのようなものだったのか？ など疑問は尽きない。 結局、フィクサーを中心に不正な金に群がる連中が私腹を肥やし、その連中が地域を固めて原発を推進し、再稼働を進めてきたのである。9月27日の記者会見で岩根社長が「地域調整の観点でお世話になっている。」と述べたように関電が彼を利用してきたことは明らかだ。 また、問題発覚後の記者会見ですら説明責任を果たさない隠蔽体質を示した関電には、原発運転の資格がないことが改めて明らかとなった。 真相を解明しなければ再発防止もままならない。そのためには強制的な権限を持った捜査当局を動かす必要があり、告発するしかないと思っていたところ、10月24日に「関電の原発マネー不正還流を告発する会」を立ち上げることができた。 1000人超を目標に告発人を募ったところ、3272人が名を連ね、12月13日に大阪地検に告発状を提出した。不正を許さないとする広範な市民の声で真相を暴いていきたい。
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