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ノーニュークスアジアフォーラム通信2021年12月掲載記事に加筆 原発マネーの不正還流事件、検察審査会へ申立て関西電力元役員らが計３億７千万円の金品を高浜町元助役らから受け取っていた事件。原発の地元工作のために関電から流されたお金の一部が還流したことに疑いの余地はなく、真相解明で裏金を生み出す構造を叩けば脱原発につながる。そう考えた市民3200人余が、2019年12月に、高値発注で会社に損害を与えた特別背任や収賄の疑いで告発していた事件を、大阪地検特捜部は11月9日に「嫌疑不十分」で不起訴としました。関電の第三者委員会が明らかにした役員報酬減額分や追加納税分を闇補填したのは業務上横領などに当たるとした告発についても、同じ決定でした。 12月1日、弁護団とともに担当検事から不起訴理由の説明を直接聞く場に臨みましたが、納得できる説明ではありませんでした。 特別背任罪、背任罪について（不正・不適切発注）まず、高値発注などの不正発注とは認められなかったというのです。工事の情報や利益率は調べたのかと聞くと、「土木建築であるとか工事の種類の情報をはじめ関電から情報収集した」「工事の適正な金額に水増しがなかったかは調べた。不必要な工事が行われていないかも調べた。」との答え。しかし、そもそも関電は、第三者で構成する取締役責任調査委員会から「高値発注額は少なくとも還流した3億6千万円を下回らない」との報告書を受け取っていながら、旧経営陣を相手取ってしぶしぶ起こした裁判でも発注額は適正だったという立場をとり続けて損害賠償請求していません。そんな関電が、任意の捜査協力で出す資料で高値発注だったと説明するはずがありません。いわゆるガサ入れ、強制捜査をするべきだったのです。 なぜ強制捜査しなかったのか問うと、「検察官が必要と思う証拠はすべて収集した。」嫌疑不十分とは有罪とすべき証拠が足りなかったという意味なので矛盾すると質すと、「（不起訴の）決定を下すのには十分な証拠だが、公判廷で有罪にするだけのものはなかった。」ですって。 取締役等の収賄罪（金品受領）について会社法の収賄は、公務員の収賄と違い不正の請託を受けて金品受領していることが要件ですが、不正の請託の事実が認められなかったと言います。随意契約で年間これだけの工事をよこせと要求していたことが不正の請託に当たるはずですが、「『工事をとりたい』については否定しないが、これ以上コメントしない。」「金と工事との紐付けについては、肯定、否定含めてコメントを控える。」と、十分な説明すらできません。特別背任罪、業務上横領罪（役員報酬減額分、追加納税分の補填）について闇補填についても、「（犯罪を）疑われる書類が作成され、証拠とした。関電の調査委員会が上乗せとしていることは否定しないが、退任役員へのルールがなく、豊松氏の退任後の活動実態があった。全体として報酬に違法性はないと判断した。」とのこと。闇補填を受け取っていた退職役員には業務実態がない者もいるが、「業務の実態には濃淡があるが、実態があることを否定できないという判断。疑問を持つことは分かる。」とこちらの主張を否定できません。検察審査会への申立てへ結局、産経新聞が「検察内部では『不起訴では国民の理解が得られない』との声が上がった」「極めてグレーだ（検察関係者）」と書かざるを得ない事件を不起訴にしたのは、佐々木茂夫元大阪高検検事長が関電に検察対策を指南し、その後監査役に就任して現在も取締役を務めるなど、大阪地検と関電との深いつながりが背景にあったのではないかと疑わざるを得ません。あるいは刑事裁判とすることで、原発利権の実態が明らかになることを嫌がったのでしょうか。
私たちは、告発状を提出してから、コロナ禍の時期を除き毎月、大阪地検前に出向いて法に基づいて厳正な捜査をしろと訴えてきましたが、裏切られました。このような決定で引き下がることはできません。 検察が不起訴にした事件の審査を行う検察審査会に、１月７日、1194人が申し立てを行います。市民からくじで選ばれた委員11人が捜査資料を取り寄せて審査を行います。1回目の審査で６人以上が起訴が妥当と判断すれば「不起訴不当」、８人以上なら「起訴相当」となり、検察の再捜査が行われます。それでも再び不起訴にされると「起訴相当」の場合は２度目の検察審査会の審査が始まり、再び「起訴相当」の議決がされると強制起訴されることになります。 福島原発事故を起こした勝俣元会長、武黒元副社長、武藤元副社長は、こうして起訴されています。賭けマージャンの黒川元東京高検検事長や地元に現金を配っていた菅原元経産大臣も一度不起訴になりましたが、検察審査会で「起訴相当」の議決がされ略式起訴されました。 原発の闇金解明のためにしっかりと検察審査会に説明をしていきたいと思います。 2月25日、検察審査会に補充書を提出しました。役員報酬の闇補填がいかに意図的で問題であったかは、電気料金値上げの審議会で関電が役員報酬の減額に抵抗していたこと経過をみれば明らかです。補充書では、その経過を解説しています。 補充書は告発する会HPで公開されています。ぜひお読みください。 原発は不正な金品なしに動かない！ 3部作 |