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脱原発東電株主運動ニュース2022年5月号掲載記事に加筆 新たな報告書で明らかになった関電原発不正マネーの実態4月20日、関電が、コンプライアンス委員会の報告書を公表しました。土砂処分、土地の賃借、倉庫の賃借の3件で、吉田開発等に便宜を図るためにコンプライアンス違反があったと認定しています。新たにメール等のデジタル・フォレンジック調査やヒアリング調査を行い、根拠となるメール題名を記載しながら、経営陣の関与についても事細かく事実認定を行っています。 土砂処分案件では、元請ゼネコンが決まる前から、土砂の崩壊事故を起こして評判の悪い吉田開発に下請けさせ、吉田開発は孫請けに仕事を出して何もせずに中抜きで儲けるスキームを作っていました。金沢国税局は14件の工事について、差額は森山元助役への交際費ではないかと指摘したとされています。報告書には14件の土砂処分の総量が示されていませんが、朝日新聞は「関電によると残土は2013〜2020年、高浜、大飯原発で計約220万ｍ3生じた」と報じています（2021.11.10記事）。吉田開発の得た不当な利益は22億円になる計算です。 土地貸借案件では、吉田開発と同一経営人の吉田関連Ｘ社や柳田産業が持っている土地を、森山元助役の求めにより適正賃料よりもはるかに高額で関電が借りていました。豊松元副社長に事前に了承を得ていたと推認されると書かれています。 以上２件は第三者委員会報告書にも触れられていたことから、私たちが出した告発状の被疑事実です。 もう一つの倉庫案件は、毎日新聞が2012年2月23日に報じたものの、第三者委員会報告書には書かれていなかった問題です。  原発推進派の高浜町議が事業に失敗したから面倒見てくれと高浜町幹部が関電に持ちかけ、町議の会社の使途がなくなった工場を倉庫として2008年度から関電が借り上げたのです。相場が年1600万円のところ5520万円。国税局に問題と指摘されて2013年10月に4860万円に減額し、2018年度に1620万円にするまでの町議側の不当利益は3億5174万円と計算できます。 さらに、2018年度の減額に当たっては代替措置として、吉田開発を通さずに土砂処分を単価3400円/m3で1億2千万円発注し、吉田開発が中抜きしていた1020円/m3分を回したことも示されています。 報告書は、森、森本、八木、豊松、森中は高額賃料を、豊松、森中、鈴木は代替土砂処分の利益供与を認識していた、あるいは認識しえた可能性が高いとしています。 なお、この町議、福島事故後に全国で初めて再稼働を求める議会決議を提出した4人のうちの1人だそうです。 3案件とも私たちの電気料金で行われた地元工作の一端です。 捜査権のない弁護士等による委員会ですらこれだけのことを調べられるのに、大阪地検はなぜ不起訴にしたのか。4月28日、地検に対し、特に土砂処分案件と土地貸借案件について再捜査を求める申入書を提出するとともに、検察審査会へ起訴相当の議決を行うよう補充書を提出しました。 4/18関電株主代表訴訟私達の提訴請求によって関電も訴えざるを得なかった、金品受領主犯格６人を被告とする関電株主代表訴訟（裁判が2つに分かれたので会社訴訟と呼んでいる）の第２回口頭弁論が4月18日に開かれました。口頭弁論では、まず、この間に提出された準備書面の確認が行われ、続いて同じく提出された証書の確認が行われましたが、ここでハプニングが発生しました。原告会社が、報酬補填の起案に八嶋元取締役が押印した書類など4点について写しを提出していたのですが、八嶋の代理人が「原本は存在するのか」と訊いたところ、関電代理人が「原本の有無について言及しない」とのやり取りになり、これら書類の裁判所の取調べは留保されることになりました。 このやり取りについて記者会見で問われた我が弁護団は、「手続きを簡略化するため写しを提出することはよくあるが、関電にとって何か不都合なことがあるのではないか」「いずれにしても報酬補填に関して一番重要な書類」と述べていました。 今後の主張予定の確認の後に、大河弁護士が原告株主の提出した準備書面の概要を口頭で説明しました。八木元会長らは金品を預かり保管していただけと主張しているが、預かり証は発行したのかなど釈明を求める。「後日の返還を期して」預かったとするが、後日の期日を誰かに告げたのか。金沢国税局の税務調査後に返却していることからも、預かっていたとは言えない。豊松元副社長は修正申告に応じ追加納税も行っている。他の被告も1着50万円のスーツ券を使用して仕立てている、などなどでした。 最後に原告の一人が、報酬補填に至る前に、報酬減額を関電が拒んでいた経緯を、電気料金審査専門小委員会での議論を丁寧に説明して明らかにし、補填がいかに問題かを意見陳述しました。 関電、資料提出に応じずもう一つの株主裁判では、関電の社内調査委員会、第三者委員会、取締役責任調査委員会の報告書の認定のもとになった資料の提出を求めるよう裁判所に申し出たところ採用され、関電等に文書送付嘱託がされました。ところが関電は「社内調査委員会等は解散しており、認定のもとになった資料を特定できない」というふざけた理由で提出に応じませんでした。このことを批判するプレスリリースを、口頭弁論終了後の報告集会で出しました。関電の言い逃れを許さないために、社内調査委員会等に提出した資料を再度文書送付嘱託するよう手続きをとり、この日行われた会社訴訟の進行協議終了後に、裁判所に採用するよう強く申し入れました。 原発は不正な金品なしに動かない！ 3部作 |